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タイトル リン酸オクタカルシウム・コラーゲン複合体による骨再生治療
Title Rinsan'okutakarusiumu koraagenfukugootai ni yoru kotsusaiseechiryoo
筆者 東北大学病院臨床研究推進センター(鎌倉慎治)
author Kamakura, Shinji
年/year 2015
出典 CRIETO Rep 2015 夏
source CRIETO Rep 2015 natsu
genre essay
subcorpus Academic Essay


 1リン酸オクタカルシウム・コラーゲン複合体 による 骨再生治療
 2鎌倉慎治
 3性質 に 合う 「 かたち 」 を 求め 行き着い た 骨再生能 の より 優れ た 材料開発
 4「 骨再生 」 とは 、 本来 骨 で ある べき 部分 が 失わ れ た 状態 の 場所 に 再び 骨組織 を 作る こと を 指し ます 。
 5歯科 および 口腔外科 で は 、 抜歯 や 嚢胞 によって 生じる 骨欠損 や 、 歯肉 に 切れ目 を 伴う 顎裂 など の 治療 を 行う うえ で 、 歯 を とりまく 骨 の 研究 が 欠かせ ませ ん 。
 6現在 、 最も 信頼 できる と さ れる 骨再生 の 標準治療 は 自家骨移植 という 方法 です が 、 それ は 患者 自身 の 腸骨 を 採取 し 、 その 健康 な 骨 を 用い て 行う 治療 です 。
 7医工学研究科 の 鎌倉慎治教授 は 、 口腔外科在籍時 に その 手術 を 日常的 に 目の当たり に し 、 長く 違和感 を 感じ て い た と 話し ます 。
 8「 顎裂 における 自家骨移植 の 手術 は 、 主 に 小学校就学後 の 子ども が 対象 な の です が 、 それ は 体 へ の 負担 も とても 大きい わけ です 。
 9手術後 は 短期間 です けれども 歩け ませ ん し 、 もちろん 腰 に は 傷 も 残り ます 。
 10そういう 治療法 に対して 、 骨 の 欠損部 に 何 か 材料 を 入れる こと で 治療 が できる よう に なれ ば 、 それ に 越し た こと は ない の で は ない か 。 そう 思っ た の が 、 骨再生治療法開発 に 取り組む こと に なっ た そもそも の 発端 です 」
 11歯学部 で 助手 を 務め ながら 、 人工骨 を 作り たい と 動物実験 を 繰り返し て い た 鎌倉教授 は 、 に 当時 在籍 し て い た 研究室 で 、 ある 材料 と 出合い ます 。
 12それ が リン酸オクタカルシウム ( OCP ) で あり 、 それ は 当時 企業研究員 として 研究室 に 出入り し ながら OCP を 研究 し て い た 歯学研究科 の 鈴木治教授 と の 出会い で も あり まし た 。
 13「 OCP は 人工合成 でき 、 また 体内 に 入る と 骨 を つくる ため に 不可欠 な アパタイト という 物質 に 変化 する 性質 を 持っ て い まし た 。
 14生体成分 で ある リン酸カルシウム に は 、 β-TCP や HA といった 材料 も あり ます が 、 比較 し て いく なか で OCP という 材料 の 優位性 が わかっ て き た の です 」 。
 15その OCP の 性質 を どのように 確認 し 、 示す こと が できれ ば 、 歯科以外 の 領域 の 医師 や 研究者 に も 理解 さ れる もの と なる か 。
 16鎌倉教授 は 考え た 末 、 ラット の 頭蓋骨 に 穴 を 開け 、 欠損部位 に 粉状 の OCP を 振りかけ 、 骨再生能 を 観察 し て いく 方法 を 取り ます 。
 17その 実験手順 について は 文献 で も 示さ れ 、 世界的 に も 行わ れ て い た ものの 、 ラット の 頭蓋骨 に 穴 を 開ける こと は 、 実際 の 技術面 で は 困難 を 極める もの でし た 。
 18「 同じ 歯科医師 ならば 、 小さい 穴 を 開け た モデル で の 実験 で 結果 を 理解 し て くれる ので 、 できる こと なら やり やすい 方 で やり たい 。
 19けれども 、 骨 の 研究 を 行う 細胞生物学 や 材料学 など の 多く の 研究者 に も 分っ て もらえる 方法 で やる べき な の で は ない か と 思っ た の です ね 。
 20結果的 に は そう し た こと で 、 ラット の 頭蓋骨欠損 の 実験 で でき た の だ から ほか で も できる 、 という 以後 の 安心感 に も つながる こと に なり まし た 」 。
 21さらに 、 OCP は 水 を 含む 構造 と なっ て おり 、 焼く と 水分 が 飛び 焼き固める こと が でき ない 点 が 他 の 材料 と 異なり 、 実用面 で の 大きな 課題 と なっ て い まし た 。
 22それ を どう 克服 する か 、
 23鎌倉教授 は 、 「 ほか の 物質 と 混ぜる しか ない 」 と 考え ます 。
 24「 僕 は 自分 が 材料学 を やっ て いる わけ で は ない ので 、 こだわり が なく 、 単純 に 考え た わけ です 。 そして 、 歯科医師 として 患者さん を これ まで 見 て き まし た から 、 『 治療現場 で 使える かたち 』 という もの を 考え ます し 、 使う 状況 も 具体的 に わかる わけ です ね 。 だから 、 OCP 自体 が 粉 の 状態 で しか 使え ない ならば 、 何 か で かたち を つくる しか ない と 思っ た 」 と 言い ます 。
 25OCP と 混ぜる ならば コラーゲン な の で は と 目星 を つけ て い た 鎌倉教授 は 、 学会 に 出席 し た 際 に 企業ブース で 日本ハム株式会社 の 担当者 に 声 を かけ 、 その 場 で 研究 に関する 文献 を 渡し て 帰り ます 。
 26それ を きっかけ に 、 医療用コラーゲン を 開発 し て い た 日本ハム株式会社 と の OCP・コラーゲン複合体作成 へ向けた 共同開発 が スタート 。
 27そうして 行っ た OCP・コラーゲン複合体 で の 動物実験 結果 を 見 て 、 鎌倉教授 は 目 を 見張り まし た 。
 28「 なぜなら 、 OCP 単独 の 場合 を はるか に しのぐ 骨再生能 が 得 られ た の です 」 。
 29それ は 予想外 の こと でし た 。
 30臨床現場 を 知る から こそ 想定 できる 製品 の 「 具体性 」
 31OCP・コラーゲン複合体 による 骨再生治療法 の 開発 は 、 鎌倉教授 と 学内 の 4 人 の 共同研究者 によって 行わ れ て き まし た 。
 32まもなく 治験 を 開始 する 予定 です が 、 「 ここ まで 、 決して ひとり で は でき なかっ た 」 と 言い ます 。
 33「 例えば 、 動物実験 から ヒト臨床 へ と 進め て いく 過程 で は 、 安全性 を 確認 する ため に 大型 の 動物 で も 実験 する 必要 が あり ます 。
 34ネズミ ならば ひとり で も でき ます が 、 イヌ で と なる と そう は いか ない 。
 35賛同 し て くれる 人 が い なけれ ば 進め られ ない わけ です 。
 36そして チーム で 取り組める か という こと は 、 共通 の 目標 を 持てる かどうか だ と 思い ます 。
 37すでに 10 年 以上 この 研究 を 続け て いる わけ です から 、 ひとり一人 が 成果 を 出す つもり で やっ て いる の です ね 」 。
 38現在 、 医工学研究科 に 在籍 し ながら 感じ て いる こと は 、 臨床 を 経験 し て いる 研究者たち の 「 具体性 」 だ と 話し ます 。
 39「 研究 を 進める 際 に は 『 これ を つくれ ば いろんな もの の 役 に 立つ 』 という 考え方 も ある と 思い ます が 、 僕 の 場合 は 最初 から 『 ここ で 、 こう 役 に 立つ 』 という 場面 を 念頭 に 、 その ため に どう し たら いい か という 思考性 で やっ て き た の です 」 と 鎌倉教授 。
 40治験 に関して は 、 CRIETO開発推進部門 によって 示さ れ た 計画 を 基 に 、 製品化 へ向けて 実際 に 治験 を 行う 東洋紡株式会社 と 、 治験調整医師 の 高橋哲教授 ( 歯学研究科 ) と の 相談 を 重ね 、 準備 を し て き た と いい ます 。
 41「 今 は 、 治験 を 行っ て 実用化 する という こと が まず 一 番 の 目標 。
 42そして それ が 実現 すれ ば 、 やはり 世界 に 出し て 行き たい です ね 。
 43あと は 、 骨 を 造る という 意味 で は 様々 な 部位 に 使える 可能性 が ある 材料 な ので 、 各専門 の 先生方 に も ぜひ 使っ て 検証 し て いただけ たら 、 ありがたい な と 思い ます 」 。