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Context for fiction_SAINT-EXUPERY-1943

title:translation of "extract from: The Little Prince" by Antoine de Saint-Exupery
date:2017
genre:fiction
source title:extract from: The Little Prince
source author:Antoine de Saint-Exupery
source date:1943
source:The Little Prince Corpus (http://amr.isi.edu/download.html)
terms of use:Creative Commons license


 1第一 章
 2僕 が 6 歳 の ある とき 、 原始林 の こと が 書か れ た 『 大自然の中で本当にあった話 』 という 本 の なか で 、 素晴らしい 絵 を 見 た 。
 3そこ に は 猛獣 を 呑み込ん で いる ボア という 大蛇 の 絵 が 描か れ て い た 。
 4ここ に その 絵 の 写し が ある 。
 5その 本 に は 次 の よう に 書か れ て い た 。
 6「 大蛇 ボア は 獲物 を 噛ま ずに 丸呑み に し ます 。
 7そうすると 、 彼ら は 動け なく なっ て しまい 、 消化 する の に 6 ヶ月 も の あいだ 、 眠る の です 。 」
 8そこで 、 僕 は ジャングル で の 冒険 について 、 よく 考え て み た 。
 9そして 、 色エンピツ を 使っ て 色々 と 描き 始め 、 ついに 初めて の デッサン を 描き 上げる の に 成功 し た 。
 10僕 の デッサン 第1 号 。
 11それ は こんな 感じ だ 。
 12僕 は その 自信作 を 大人たち に 見せ て 、 恐く ない か と 聞い た 。
 13しかし 、 大人たち は 答え た 、
 14「 怖がる ?
 15なぜ 帽子 を 怖がる 必要 が ある ん だい ? 」
 16僕 の デッサン は 帽子 を 描い た もの で は ない 。
 17象 を 消化 し て いる 大蛇 の ボア を 描い た の だ 。
 18大人たち が 僕 の デッサン を 理解 出来 ない よう な ので 、 もう 一 枚 デッサン を 描い た 。
 19大蛇 ボア の 内側 を 描い て 、 それで ようやく 大人たち は 僕 の デッサン を 理解 し た 。
 20大人たち は いつも 説明 が 必要 な の だ 。
 21僕 の デッサン 第2 号 は こんな 感じ だ 。
 22大人たち は 今度 は こう 答え た 。
 23大蛇 ボア の 外側 から や 内側 から の デッサン なんか 描く の は やめ て 、 その かわり に 地理 や 歴史 、 算数 、 文法 に 専念 する よう に 僕 に 勧め た 。
 24こうした 訳 で 、 6 歳 の とき 、 僕 は 画家 として の 素晴らしい 職業 を あきらめ た 。
 25僕 の デッサン 第1 号 と 第2 号 の 失敗 によって 、 僕 は 落胆 さ せ られ た 。
 26大人たち は 、 決して 何 ひと つ 自分 だけ で は 理解 する こと が でき ない の だ 。
 27大人たち に 、 いつも そして ずっと 、 説明 し て あげ なけれ ば なら ない の は 、 子供たち にとって うんざり する こと な の だ 。
 28それで 、 僕 は 別 の 職業 を 選び 、 飛行機パイロット の 技術 を 習得 し た 。
 29僕 は 、 世界中 の ほぼ あらゆる 国 を 飛び回っ た 。
 30事実 、 地理 は 僕 の 役 に 立っ た の だ 。
 31僕 は 、 一見 し た だけ で 、 中国 と アリゾナ を 区別 する こと が 出来 た 。
 32夜間 に 道 に 迷っ た とき に は 、 地理 の 知識 は とても 役 に 立つ 。
 33僕 の 人生 の 中 で 、 大切 な こと を 話し て くれる 多く の 人々 と の たくさん の 出会い が あっ た 。
 34僕 は 大人たち に 囲ま れ て 日々 を 送っ た 。
 35親密 に 、 手 の 触れる ほど の 距離 で 、 彼ら の そば に い た 。
 36しかし 、 その こと は 僕 の 大人 にたいする 考え方 を 、 たいして 変える こと が なかっ た 。
 37聡慧 そう な 大人 と 出会っ た 時 いつも 、 僕 は 常時 持ち歩い て い た デッサン 第1 号 を 試し に 彼ら に 見せ た 。
 38彼ら が 真 の 理解者 かどうか 確認 する ため に 、 何 度 も 試し て み た 。
 39しかし 、 彼ら が 誰 で あっ て も 、 男性 で も 、 女性 で も 、 いつも 決まっ て 答える の は 、 「 それ は 帽子 だ ね 。 」
 40それで 僕 は 彼ら に は 、 大蛇 ボア の こと も 、 原始林 の こと も 、 星 の こと も 決して 話さ なかっ た 。
 41僕 が 彼ら の 方 に 寄っ て いっ て あげ た の だ 。
 42僕 は 、 彼ら に ブリッジ 、 ゴルフ 、 政治 、 そして ネクタイ の こと など について 話し を し た 。
 43すると 大人たち は 、 僕 の よう な 賢明 な 男 と 会っ た こと に 大満足 する の だっ た 。
 44第二 章
 45その よう に し て 、 僕 は 本当 に 話 の 出来る 相手 と 出会う こと も なく 、 6 年 前 に サハラ砂漠 で 飛行機 が 故障 する まで 、 ひとり で 生き て き た 。
 46エンジン の どこ か が 壊れ た の だ 。
 47整備士 も 搭乗者 も 一緒 で は なかっ た ので 、 僕 は 難しい 修理 を 、 たった ひとり で やら なけれ ば なら なかっ た 。
 48それ は 僕 にとって 、 生きる か 死ぬ か の 問題 だっ た 。
 49僕 は かろうじて 一 週間 分 の 飲み水 しか 持っ て い なかっ た から だ 。
 50一 日目 の 夜 、 僕 は 、 人家 から 、 千 マイル も 離れ た 砂 の 上 で 眠っ た 。
 51海 の 真ん中 で 、 いかだ に 乗っ て 遭難 し て いる 船乗り よりも 、 もっと ひとりぼっち だっ た 。
 52だから 、 夜明け に 奇妙 な 小さな 声 で 起こさ れ た 時 の 、 僕 の 驚き が どれ ほど だっ た か 想像 できる だろう 。
 53その 声 は 言っ た 。
 54「 もし よかっ たら 、 僕 の ため に 羊 を 描い て ! 」
 55「 なん だ って ?! 」
 56「 僕 の ため に 羊 を 描い て ! 」
 57僕 は 雷 に 打た れ た か の よう に 、 飛び起き た 。
 58僕 は 両目 を 何 度 も こすっ た 。
 59そして 僕 の まわり を 注意深く 見回し た 。
 60すると 、 僕 を まじまじ と 好奇心いっぱい の 眼差し で 見つめ て 立っ て いる 大変 風変わり な 小さな 人 が 見え た 。
 61ここ に 、 のち に 最も うまく 描く こと が 出来 た 彼 の 肖像画 が ある 。
 62しかし 、 僕 の デッサン は 確か に モデル その 人 ほど 魅力的 に は 描け て い ない 。
 63その こと は 、 僕 の せい で は ない 。
 646 歳 の とき に 、 僕 は 大人たち によって 画家 に なる 夢 を あきらめ させ られ て から 、 大蛇 ボア の 外側 と 内側 を 描い た こと 以外 、 一 度 も 絵 を 描く こと を 学ん だ こと が ない 。
 65今 、 僕 は 、 あやうく 目 が 飛び出し そう に なる ほど 驚い て 、 突然 出現 し た 彼 を じっと 眺め た 。
 66思い出し て ほしい 、 人 が 住ん で いる 地域 から 千 マイル も 離れ た ところ に 僕 が 不時着 し た こと を 。
 67しかしながら 、 その 小さな 男の子 は 、 砂 ばかり の 中 で 道 に まよい 、 さまよっ て い た わけ で は なく 、 疲れ や 空腹 や のど の 渇き や 恐怖 で 気 を 失い そう に なっ て いる わけ で も なかっ た 。
 68彼 の 様子 は 、 人 の 住む 地域 から 千 マイル も 離れ た 砂漠 の まんなか で 迷っ て いる 子供 の よう に は 、 まったく 見え なかっ た 。
 69僕 は 、 ようやく 口 が きける よう に なっ て 、 彼 に 向かっ て 言っ た 。
 70「 ところで 、 君 は ここ で なに を し て いる の ? 」
 71すると 、 彼 は とても 大事 な こと を 話す か の よう に 、 ゆっくり と 繰り返し た 。
 72「 もし よかっ たら 、 僕 の ため に 羊 を 描い て ! 」
 73不思議 な こと が 、 あまり に も 圧倒的 過ぎ たら 、 かえって 人 は 逆らわ ない もの だ 。
 74人 の 住む 場所 から 千 マイル も 離れ た ところ で 、 死 の 危険 に あっ て いる 時 に 、 羊 の 絵 を 描く なんて ばかばかしく 思え た が 、 僕 は ポケット から 紙 と 万年室 を 取り出し た 。
 75しかし 、 その 時 、 僕 は 地理 や 歴史 や 算数 や 文法 ばかり 、 集中的 に 勉強 し て い た こと を 思い出し 、 小さな 男の子 に は 、 絵 の 描きかた を 知ら ない と 少し 不機嫌気味 に 言っ た 。
 76彼 は 答え まし た 。
 77「 そんな こと 、 関係 ない よ 。
 78僕 に 羊 を 描い て 。 」
 79僕 は 一 度 も 羊 を 描い た こと が なかっ た 。
 80それで 、 僕 は 自分 が よく 描い た 2 つ の 絵 の うち の ひと つ の 絵 を 彼 の ため に 描い た 。
 81それ は ボア の 外側 の 絵 だ 。
 82そして 、 その 小さな 男の子 が 僕 の 絵 を 見 て 、 答える の を 聞き 、 僕 は 驚い た 。
 83「 ちがう よ 、
 84ちがう よ !
 85僕 は 大蛇 ボア に 呑み込ま れ た 象 を 描い て 欲しい ん じゃ ない よ 。
 86ボア は とても 危険 な 生き物 だ よ 、
 87それに 象 は すっごく 厄介 だ 。
 88僕 の 住ん で いる ところ で は 、 なん でも みんな 小さい ん だ よ 。
 89僕 が 欲しい の は 羊 な ん だ 。
 90羊 を 描い て ! 」
 91それで 僕 は デッサン を 描い た 。
 92彼 は 僕 の デッサン を 注意深く 眺め た 後 で こう 言っ た 。
 93「 ちがう 、
 94この 羊 は もう ひどい 病気 に かかっ て いる よ 。
 95別 の 羊 を 描い て ! 」
 96それで 僕 は 別 の 羊 を 描い た 。
 97僕 の 友だち は 優しく 、 寛大 に 微笑ん だ 。
 98「 自分 で 見 て よ 。
 99これ は 羊 じゃ なくて 、 牡羊 だ よ 。
 100角 が ある もの 」
 101僕 は もう 一 度 、 描きなおし た 。
 102しかし 、 先 に 描い た デッサン と 同じ よう に 、 彼 は それ を 拒ん だ 。
 103「 この 羊 は 歳 を 取り 過ぎ て いる よ 。
 104僕 は 長生き する 羊 が 欲しい ん だ よ 」
 105この 時 まで に 、 僕 の 我慢 は すでに 限界 が き て い た 、
 106エンジン の 分解 に とりかかろ う と 急い で い た から だ 。
 107それで 彼 に デッサン を 投げ渡し た 。
 108そして それ に対して 言い訳 を し た 。
 109「 それ は 箱 だ よ 。
 110君 の 望ん で いる 羊 は その なか に いる よ 。 」
 111ところが 、 僕 の 若い 審判 の 顔 に 輝き を 見 て 、 僕 は とても 驚い た 。
 112「 僕 が 欲しかっ た の は まさしく これ な ん だ !
 113君 は 、 この 羊 は たくさん 草 を 食べる って 思う ? 」
 114「 どうして ? 」
 115「 だって 、 僕 の 住ん で いる ところ は 、 みんな 小さい ん だ 。 」
 116「 きっと 君 の 羊 に は それ で 十分 だ よ 。 」 と 僕 は 言っ た 。
 117「 僕 が 君 に 描い た 羊 は とても 小さい から ね 。 」
 118彼 は デッサン を 覗き込ん だ 。
 119「 そんな に 小さく は ない よ 、
 120見 て !
 121羊 が 眠っ ちゃっ た よ 。 」
 122こんな ふう に 、 僕 は 小さな 王子さま と 知り合っ た の だ 。