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title:Kahoku Shimpo newspaper article
date:2014/03/13
source:K201403130A0T10XX00001
genre:news
subcorpus:KAHOKU SHIMPO
terms of use:by permission of KAHOKU SHIMPO PUBLISHING CO. (c)


 1東日本大震災 3 年
 2/ 風化 ( 下 )
 3/ 触れる ・ 継ぐ 、 防ぐ 力 に
 4東日本大震災 は 発生 から 3 年 が たち 、 復興半ば の 沿岸部 で は 震災 の 記憶 の 「 風化 」 が 危ぶま れ て いる 。
 5支援 が 少なく なる こと へ の 焦燥感 も にじむ 。
 6震災 は 人々 の 記憶 から 薄れ 始め て いる の か 。
 7風化 を 防ぐ ため に は どんな 努力 が 必要 な の か 。
 8被災地 で の 取り組み を 追っ た 。
 9( 報道部 ・ 亀山貴裕 )
 10◎ 震災アーカイブ活動 宮城 の 場合
 11/ 官民団体 が 工夫 凝らす
 12震災 の 被害 や 復興過程 を いかに 後世 に 伝え 、 教訓 を 共有 し て いく か 。
 13写真 や 映像 、 文書 など を 収集 し て 保存 、 公開 に 取り組む アーカイブ活動 は 、 震災 の 記憶風化 を 防ぐ 役割 の 一端 を 担う 。
 14デジタル技術 の 進展 を 背景 に 、 宮城県内 で は アーカイブ活動 の 裾野 が 広がる 。
 15宮城県内 に ある 主な 震災アーカイブ団体 と プロジェクト 名 は 地図 の 通り 。
 16宮城県図書館 ( 仙台市泉区 ) や 気仙沼市 で は 、 自治体 など が 常設展示 を 行う 。
 17名取市閖上地区 で は 、 NPO法人 が プレハブ建物 で 語り部活動 も 交え て 、 映像 や 資料 を 公開 し て いる 。
 18みやぎ生協 は 昨年 3 月 、 仙台市泉区八乙女 の 会館 に 「 東日本大震災学習・資料室 」 を 開設 し 、 一般 に 開放 し て いる 。
 19県内 で 48 店舗 を 持つ 同生協 は 、 被害 が 大きかっ た 2 店 が 閉店 し た 。
 20約130 平方メートル の 展示スペース に 、 津波 や 地震 で 崩れ た 店舗 や 復旧作業 の 様子 を 伝える 写真パネル が 並ぶ 。
 21管理責任者 の 五十嵐桂樹さん ( 62 ) は 「 震災 の 記憶 を 薄れ ない よう に し 、 再び 災害 が あっ た 場合 の 対応 について 考える きっかけ に し て もらえれ ば 」 と 話す 。
 22気仙沼市 の 「 リアス・アーク美術館 」 は 、 学芸員ら が 収集 し た 記録写真 や 被災物 を 展示 する 。
 23仙台市 の NPO法人 「 20世紀アーカイブ仙台 」 は 市民 が 携帯電話 など で 撮影 し た 写真 を 集め 、 ネット で 公開 し て いる 。
 24カメラ付き携帯電話 の 普及 など で 、 一般 の 人々 が 写真 や 映像 を 撮影 し 提供 する 機会 が 飛躍的 に 増え た 。
 25過去 の 震災時 に は なかっ た 社会現象 で 、 草の根 の アーカイブ活動 が 展開 さ れ て いる 。
 26課題 も 多い 。
 27資料公開 の ノウハウ不足 に 悩む 団体 が ある ほか 、 国 の 事業 など に 頼ら ない 団体 の 中 に は 事業継続 の 資金繰り に 困る ケース も ある 。
 28問題解決 を 目指し 、 宮城県内 で は 十数 団体 が 連絡会議 を 設立 。
 29アーカイブ団体 の 課題 を 共有 し 、 解決 に つなげ よう と 議論 を 始め た 。
 30事務局 を 担う 東北大大学院情報科学研究科 の 坂田邦子講師 ( メディア文化論 ) は 「 既存 の メディア から こぼれ落ちる 震災 の 記憶 や 記録 の 伝承 に アーカイブ は 不可欠 。 後世 に 伝える ため に も アーカイブ団体 の 活性化 を 促す こと が 必要 だ 」 と 語る 。
 31◎ 「 きっかけバス 」 に 参加 山口 の 大学生 の 場合
 32/ 「 まず は 伝え よう 」 決心
 33「 生き て いる だけ で 私 は 幸せ な ん だ 。
 34東北 の 人たち 、 ごめんなさい 」 。
 35荒涼 と し た 市街地 を 前 に 、 学生ら は 津波被害 の 大きさ を 初めて 体感 し た 。
 362 月 26 日 、 宮城県南三陸町 の 防災対策庁舎前 。
 37山口県 から 被災地 へ の ボランティアツアー 「 きっかけバス 」 に 参加 し た 下関市立大1年 中村瞳さん ( 19 ) は 鉄骨 だけ の 建物 を 目の当たり に し 、 圧倒 さ れ た 。
 38テレビ や インターネット で は 伝わら ない 現実 が あっ た 。
 39国内有数 の 原発立地県 で ある 福井県 出身 。
 40震災発生時 に は 地元 の 原発 に 勤める 友人 の 父親 が 、 福島県 へ 向かっ た こと を 心配 し た 記憶 が ある 。
 41大学進学後 は 、 震災 を 話題 に する こと が なくなっ た 。
 42全国 47 都道府県 の 学生 が 被災地 に 向かう 「 きっかけバス 」 へ の 参加 を 決め た 契機 は 、 今夏 に 控える 海外留学 だっ た 。
 43日本 の 戦後災害史上 最悪 と 言わ れる 出来事 について 知ら ない 自分 に 気付い た 。
 44「 このまま 海外 へ 行っ て いい の かな 」 。
 45訪れ た こと の ない 東北 へ の 思い入れ は 正直 なかっ た が 、 思い切っ て 参加 し た 。
 46被災地ツアーバス は 2 泊 4 日 で 岩手 、 宮城 、 福島 の 3 県 沿岸部 など を 巡り 、 農地復旧 の ボランティア に 参加 し たり 、 語り部 の 話 を 聞い たり し た 。
 47放射能 について 考える 場 も 設け 、 夜 は グループ に 分かれ て 議論 も し た 。
 48参加 し た 山口大2年 相田将星さん ( 20 ) は 広島市育ち 。
 49高校時代 に 見 た 原爆投下直後 の 故郷 の 写真 と 、 被災地 が 重なっ て 映っ た と いう 。
 50「 草木 も 生え ない と 言わ れ た 広島 は 戦後 、 急速 に 復興 でき た が 、 今 の 東北 は どう か 。
 51自分 に できる こと は 何 か 」 。
 52自問 の 日々 が 続く 。
 532 月 28 日 、 一行 は 山口 へ 帰っ た 。
 54遠い 土地 で できる こと は 限ら れる が 「 まず は 伝え よう 」 と 2人 は 決心 。
 55被災地 で 見 て 、 聞い て 、 触れ た こと を 周囲 の 人 に 語っ た 。
 56「 少し でも 関心 を 持っ て もらう こと 。
 57全て は そこ から 始まる と 思う 」 。
 582人 は 口 を そろえる 。
 59「 きっかけバス 」 を 主催 する 公益社団法人 助けあいジャパン ( 東京 ) の 担当者 は 「 震災 に 関心 の 低い 若者 を 被災地 に 送る 活動 は 、 長期的 に 被災地 を 支える こと に つながる 」 と 震災 の 風化 を 防ぐ 役割 を 強調 する 。
 60来年 の 開催 について は 「 事業費 は 全国 の 企業 や 個人 から の 寄付 に 頼っ て いる 。 全国 の 人々 の 震災 へ の 関心 の 高まり に かかっ て いる 」 と 話し た 。
 61< きっかけバス > 公益社団法人助けあいジャパン ( 東京 ) が 主催 。
 62全国 を 対象 に 募っ た 大学生 を バスツアー で 岩手 、 宮城 、 福島 の 被災 3 県 に 送り出す 。
 63個人 や 企業 など の 寄付 を 事業費 に 充て 、 参加学生 の 交通費 や 宿泊費 は 無料 。
 64本年度 は 2 月 1 日 から 3 月 10 日 まで 計 約1800 人 が 参加 し た 。
 65津波 の 爪痕 を 目 に 焼き付け 、 体験談 を それぞれ の 地元 に 持ち帰る
 66◎ 震災 を 話題 「 東高西低 」
 67/ 東大防災研 ・ 意識調査
 68「 東日本大震災 を 話題 に し た 人 の 割合 は 、 2 年 前 に比べ 13.6 ポイント 減 」
 69東大総合防災情報研究センター が 1 月 に 実施 し た 災害情報 に関する 住民意識調査 で 、 震災 の 風化 が うかがえる 調査結果 が 出 た 。
 70地方別 で は 東北 など で 割合 が 高く 、 中国 など で 低い 「 東高西低 」 の 傾向 に ある 。
 71調査 によると 、 最近 家族 や 友人 と の 話題 に 上っ た 災害 に 「 東日本大震災 」 を 挙げ た 人 の 割合 は 、 全国平均 で 11 年 が 76.5 % だっ た の に対し 、 12 年 は 69.4 % 、 13 年 は 62.9 % と 低下 し た 。
 72地区別 の 推移 は グラフ ( 1 ) の 通り 。
 7311 年 は 全地区 で 70 % を 超え た が 、 13 年 に は 中部 、 近畿 、 中国 、 四国 の 4 地区 で 60 % を 切っ た 。
 74一方 、 「 日常生活 の 中 で 何 に 不安 を 抱く か 」 という 質問 に対して 「 自然災害 」 を 選ん だ 人 は 、 10 年 は 全国平均 で 59.3 % だっ た が 、 震災後 の 11 年 は 72 % と 急伸 し た 。
 75地震 、 津波 、 土砂災害 に 不安 を 抱く 人 の 割合 の 推移 は グラフ ( 2 ) の 通り 。
 76津波 に 不安 を 抱く 人 の 割合 は 10 年 は 23.6 % だっ た が 11 年 は 44.1 % に 急増 し 、 その 後 も 40 % 台 が 続く 。
 77東大総合防災情報研究センター長 の 田中淳教授 ( 災害情報 ) は 「 3 年 が 経過 し た 現在 で は 、 話題 に 上る 率 が 下がる の は 仕方 が ない 。 その こと を 捉え て 一概 に 風化 が 進ん だ と は 言い 難い 」 と 話す 。
 78その 上 で 「 調査結果 で は 地震 や 津波 など 災害 へ の 危機意識 は 依然 と し て 高い 。 多く の 国民 が 災害 を 『 わが こと 』 として 受け止める 中 で 、 いたずら に 風化 を 叫ぶ の で は なく 、 被災地 で の 体験 を 共有 する 仕組みづくり こそ 必要 だ 」 と 指摘 する 。
 79調査 は 、 センター が 2008 年 に 開始 。
 80毎年 末 に インターネット を通じて 実施 し 、 13 年度 の 調査 で は 全国 計 3000 人 から 回答 を 得 た 。
 81◎ 「 震災本 」 一 つ の ジャンル を 確立
 82東日本大震災 へ の 関心度 を 映す バロメーター の 一 つ に 「 震災本 」 の 売れ行き が ある 。
 83震災 が 起き た 2011 年 に は 、 関連書籍 が 相次い で ベストセラー と なっ た が 、 12 年 以降 は 爆発的売れ行き が 見 られ なく なっ た 。
 84全国出版協会・出版科学研究所 ( 東京 ) によると 、 11 年 の 震災本 の 発刊 は 915 点 で 、 単一 の テーマ を 扱う 出版物 として は 異例 の タイトル数 を 記録 し た 。
 8510万 部 を 超える ベストセラー と なっ た 震災関連書籍 は 表 の 通り 。
 8640万 部 を 超え た 「 報道写真集巨大津波が襲った3・11大震災 」 ( 河北新報社 ) をはじめ 、 被災地 の 様子 が 一目 で 分かる 報道写真集 へ の 需要 が 高かっ た 。
 87ベストセラー 12 タイトル の うち 、 7 点 は 原発事故 や 放射能関連 が 占め た 。
 8812 年 に なる と 10万 部 超え が 2 タイトル と 激減 。
 89新刊数 は 震災 1 周年 に 合わせ た 発刊ラッシュ も あっ て 計1040 点 と 前年 を 超え た が 、 全国的 な 関心 は 落ち着き を 見せ た 。
 9013 年 に は 新刊数 が 640 点 と 下降 し た 。
 91福島第1原発 の 事故当時 の 所長 の 死去 で 、 前年発刊 の 「 死の淵を見た男吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日 」 ( PHP研究所 ) が 注目 を 浴び た 以外 で 、 10万 部 を 超え た の は 1 タイトル のみ だっ た 。
 92出版科学研究所 の 久保雅暖研究員 は 「 震災当初 の 記憶 が 薄れ た 読者 の ニーズ を 背景 に 、 政治 や 経済 など 他 の 問題 を 扱う 書籍 へ の 関心 が 相対的 に 高まっ た 」 と 分析 する 。
 93それでも 「 震災本 は 現在 も 年間 約600 タイトル も の 発刊 が あり 、 一 つ の ジャンル が 確立 さ れ た と いえる 。 復興課題 が 山積 する 中 で 一定 の 需要 は 続く 」 と み て いる 。
 94◎ せんだいメディアテーク館長 ・ 鷲田清一氏 に 聞く
 95/ 被災地 から 課題解決法 を 発信
 96震災 から 3 年 が たち 、 記憶 や 教訓 を 受け継ぐ 取り組み は 重要性 を 増す 。
 97震災情報 を 発信 し 続ける 、 せんだいメディアテーク館長 の 鷲田清一大谷大教授 ( 臨床哲学 ) に 聞い た 。
 98- 関西 で 教壇 に 立っ て いる 。
 99震災 の 風化 を 感じる か 。
 100「 阪神大震災 を 経験 し た 地域 で は 災害 による ダメージ の 大きさ が 、 わが 身 の こと として 理解 でき 、 風化 なんて とんでもない と いう 人 が 多い 」
 101「 3 月 11 日 に 合わせ 震災報道 が 集中 し て いる 。
 102記念日化 は 被災経験 を 再確認 する 面 が ある が 、 それ 以外 の 期間 は 忘れる こと に つながり かね ない 」
 103- 風化 を どう 考える 。
 104「 風化 という 言葉 が 独り歩き し て いる 。
 105居住地域 や 立場 、 復興 と の 関わり方 で さまざま だ 。
 106被災地 以外 で も 、 ボランティア など で 東北 に 関わっ て いる 人々 は 今 の 現象 を 風化 と 呼び たく ない はず だ 」
 107「 被災地 の 人 は いつも 、 忘れ て は いけ ない こと と 、 忘れ て いい こと と の 仕分け を 迫ら れる 。
 108前向き に なる ため の 忘却 も ある 。
 109それ を 風化 と 言っ て いい の だろう か 」
 110- 大事 な 視点 は 何 か 。
 111「 問題 は 震災 の 記憶 そのもの で は ない 。
 112人口減 など 被災地 が 抱える 困難 は いずれ 全国 が 直面 する 課題 だ 、 という 意識 を 風化 さ せ ない こと だ 。
 113そう すれ ば 震災 の 風化 は あり 得 ない 」
 114- 福島第1原発事故後 に 広がっ た 節電運動 や 自然 と の 共生 を 求める 世論 が 弱まっ た の で は 。
 115「 政界 、 経済界 の リーダー の 方針 が そう さ せ て いる 面 が ある 。
 116今 の リーダー は 戦後 の 右肩上がり時代 に 育っ た 世代 。
 117彼ら は 経済成長 と 技術革新 に 取り組め ば 道 が 開ける という 思考構造 。
 118その 先 に 原発 の 危機 すら 乗り越え られる という 幻想 が ある の で は ない か 。
 119そういう 思考 の 惰性 が 危うい 」
 120- メディアテーク は 復興 と 風化防止 に どんな 役割 を 担える か 。
 121「 『 3がつ11にちをわすれないためにセンター 』 という アーカイブ を 開設 し 、 住民 の 声 や 被災風景 を 収集 し 映像 を 作る など 多彩 な 情報発信 に 努め て いる 。
 122日本 が 抱える 多様 な 問題 に 取り組む 姿勢 と 解決法 を 、 被災地 から 示し て いく こと が 風化 を 超える 道 に つながる 」
 123< わしだ・きよかず >
 12449 年 京都市生まれ 。
 125京大院修了 。
 126専攻 は 臨床哲学 。
 12707~11 年 大阪大総長 。
 12813 年 4 月 、 せんだいメディアテーク館長 に 就任 。
 129著書 に 「 語りきれないこと危機と傷みの哲学 」 「 『聴く』ことの力 」 など 。
 13064 歳 。