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title:Kahoku Shimpo newspaper article
date:2014/01/11
source:K201401110A0T10XX00001
genre:news
subcorpus:KAHOKU SHIMPO
terms of use:by permission of KAHOKU SHIMPO PUBLISHING CO. (c)

 1いのち と 地域 を 守る 防災 ・ 減災 の ページ
 2/ むすび塾 海外編
 3巡回ワークショップ
 4@ チリ ( 上 )
 5/ コンスティトゥシオン市
 6/ 慰霊碑 設置 、
 7伝承 誓う
 8国境 を 超え て 東日本大震災 の 教訓 を 共有 し 、 地震 や 津波 へ の 備え に 生かそ う と 河北新報社 は 昨年 12 月 6 、 8 の 両日 、 巡回ワークショップ 「 むすび塾 」 を 南米 チリ の 2 カ所 で 開い た 。
 9国際交流基金 と の 共催 で 、 海外開催 は 昨年 4 月 の インドネシア に 続い て 2 度目 。
 10チリ沿岸部 は 2010 年 の チリ大地震津波 で 大きな 被害 を 受け た 。
 11減災・復興支援機構 ( 東京 ) の 木村拓郎理事長 を 進行役 に 、 東日本大震災 の 語り部活動 を し て いる 宮城県南三陸町 の 農業 後藤一磨さん ( 66 ) 、 石巻市 の 主婦 佐藤麻紀さん ( 42 ) と 現地 の 住民 が 被災後 の 心境 や 、 防災 ・ 減災 について 話し合っ た 。
 12チリ大津波地震 で 住民 約100 人 が 犠牲 に なっ た コンスティトゥシオン市 で は 6 日 、 市役所 で むすび塾 を 開き 、 津波 で 家族 を 失っ た 住民 3 人 が 参加 し た 。
 13経験 と 教訓 の 伝承 について 意見 を 交わし 、 悲劇 を 繰り返さ ない こと を 誓い合っ た 。
 14市内 を 流れる マウレ川 河口部 の オレゴ島 は 、 キャンプ中 の 約50 人 が 津波 で 命 を 落とし 、 市最大 の 被災地 と なっ た 。
 15息子 の フェリペさん = 当時 ( 9 ) = を 亡くし た ペドロ・バレラさん ( 37 ) は 「 家族 と 高台 に 避難 し た 後 、 島 を 見 に 行っ た 。 大勢 の 助け を 求める 声 が 聞こえ た が 、 船 が なく 、 何 も でき なかっ た 」 と 声 を 震わせ た 。
 16日本 に も 被害 を 及ぼし た 1960 年 の チリ地震 で 、 同市 は 人的被害 が 小さかっ た ほか 、 被災 し た 建物 は 撤去 さ れ た 。
 17津波 に関する 記憶 は 年々 薄れ 、 市民 の 津波 へ の 警戒心 は 弱かっ た と いう 。
 18当時 は 地震 や 津波 が 神 の 罰 だ と 見なさ れ 、 公 の 場 で 語り合う こと が 宗教的 に タブー だっ た こと も 影響 し た と み られる 。
 19沈痛 な 面持ち の 参加者 に 、 木村理事長 は 「 将来 の 被害 を 減らす ため 、 チリ大地震津波 の こと を どう 伝え て いけ ば いい だろう か 」 と 問い掛け た 。
 20参加者 は 、 遺族 が お金 を 出し合っ て 十字架 を 中心 と し た 慰霊碑 を 設置 し た こと を 説明 し た 。
 21遺族 は 、 毎月 の よう に 訪れ て 祈り を ささげ て いる 。
 22津波 が 発生 し た 2 月 27 日 に は 追悼式典 が あり 、 市民 が 体験 を 思い起こす 日 に なっ て いる 。
 23島 は 政府 が 買い上げ 、 キャンプ を 禁止 し て いる 。
 24十字架 が ある こと で 島 で キャンプ する 人 は い ない と いう 。
 25佐藤さん は 「 市外 から 観光 など で 訪れる 人 も いる と 思う 。 立て札 や 看板 を 置い て 注意 を 促し て ほしい 」 と 求め た 。
 26家庭 で の 取り組み も 話し合っ た 。
 27ソフィア・グティエレスさん ( 38 ) は 4 歳 の 長男 を 失っ た 経験 を 涙ながら に 振り返り 、 「 他 の 子ども は 、 同じ 目 に 遭わ せ たく ない 。 成長 し た とき に 見せる ため に 、 被災当時 の 雑誌 や 写真 を 保管 し て いる 」 と 強調 し た 。
 28市民 の 間 で は 地震後 、 強い 揺れ の 後 は 逃げる という 考え が 浸透 し て いる 。
 29参加者 は 、 防災意識 の 持続 の ため に も 、 伝承 が 欠かせ ない との 認識 を 共有 し た 。
 30木村理事長 は 「 地震 の たび に 、 津波 は 形 を 変え て 襲っ て くる 。 到達 まで の 時間 や 波高 など 経験 に とらわ れ すぎる こと も 危険 だ 」 と 助言 し た 。
 31日本 で は 津波被害 を 受け た 建物 を 震災遺構 として 保存 する 動き が 活発化 し て いる こと を 紹介 し 、 「 チリ に は まだ 被災建物 が 残っ て いる 。 伝承 に 効果的 な ので 、 保存 に 取り組ん で ほしい 」 と 訴え た 。
 32◎ 語り部 から
 33< 互い に 話せる 場 必要
 34/ 石巻市 ・ 主婦 佐藤麻紀さん ( 42 ) >
 35当初 は チリ の 人々 に 受け入れ て もらえる か 、 不安 だっ た 。
 36震災体験 について 互い に 話 を し て み て 、 家族 を 守り たい という 気持ち は 、 国境 に 関係 なく 一緒 だ という こと が 強く 心 に 残っ た 。
 37東日本大震災 で は 、 避難 し た 高台 まで 津波 が 押し寄せ 、 山 の 斜面 を 駆け上がっ て 逃げ た 。
 38入院中 の 祖母 と 助け に 行っ た 母 は 、 津波 の 犠牲 に なっ た 。
 39チリ大地震津波 で 子ども を 失っ た 母親 と むすび塾 で 話し た 際 、 つらさ が 痛いほど 分かっ た 。
 40子ども の 遺体 を 捜し た 体験談 も 、 祖母 と 母 を 捜索 し た 自分 と 重なり 涙 が 出 た 。
 41言葉 は 分から なくて も 、 抱き合っ て 頬 と 頬 を くっつけ た とき に 、 慰め合え た 気 が し た 。
 42本当 は 誰 も が つらさ を 吐き出し たい し 、 泣き たい の だ と 思う 。
 43しかし 、 チリ で は 傾聴ボランティア の よう な 活動 が なく 、 傷つい た 気持ち を 表 に 出す 機会 が 少ない よう だ 。
 44むすび塾 を きっかけ に 、 話 が できる 場 が 地域 に 広がれ ば いい 。
 45家族愛 の 深さ は 尊い が 、 互い を 心配 する あまり 、 津波避難 が 遅れる 場合 も ある 。
 46日頃 から 家族 で 避難場所 を 話し合い 、 学校 や 職場 に いる 時間帯 は ばらばら に 逃げる 「 津波てんでんこ 」 を 実践 し て ほしい と 訴え た 。
 47語り部 の 活動 を 続ける 上 で は 、 目標 が 必要 だ と 思う 。
 48私 は 「 ほか の 人 に 、 自分 の よう な つらい 思い を さ せ たく ない 」 との 一心 で やっ て いる 。
 49チリ で は 語り部 が 浸透 し て い ない よう だ が 、 交流 を きっかけ に 理解 が 深まり 、 取り組む 人 が 増える こと を 期待 し て いる 。
 50◎ むすび塾 に 参加 し て
 51< ペドロ・バレラさん ( 37 ) >
 52オレゴ島 で 犠牲 に なっ た 息子 の フェリペ の こと を 思い出し て もらえる よう 、 自分 が 運営 する サッカー教室 に フェリペ の 名前 を 付け た 。
 53今 で は 家族 の 避難場所 を 決め 、 地震 が あっ たら 各自 が そこ に 逃げ て 落ち合う こと に し て いる 。
 54< ソフィア・グティエレスさん ( 38 ) >
 55津波 が 市街地 を 襲う 光景 を 見 て 「 地獄 が 入っ て き た 」 と 感じ た 。
 56津波 の 知識 は なかっ た が 、 直感 で 山 に 逃げ た 。
 57津波 は 誰 に も 止め られ ない 。
 58毎回 、 姿 を 変える と も 聞い た 。
 59地震 が 起き たら 、 素早く 避難 を 始め たい 。
 60経営 する 渡し船 に 乗る 観光客 に も 、 避難路 を 考える よう 助言 し て いる 。
 61< サンドラ・コントレラスさん ( 48 ) >
 62オレゴ島 で 娘 2人 と 孫 1人 を 亡くし た 。
 63災害 の こと を 伝え 続ける ため 、 遺族 で お金 を 出し合っ て 島 に 慰霊碑 を 建て た 。
 64島 に 立つ 十字架 を 見れ ば 、 市外 の 人 も 過去 に 悲惨 な 出来事 が あっ た こと が 分かり 、 警戒 し て もらえる はず だ 。
 65◎ 避難訓練 、 防災教育 の 浸透 を
 66/ 津波研究 を 支援 する ビクトル・オレジャーナ氏 に 聞く
 67チリ で は 、 地球規模課題対応国際科学技術協力 ( SATREPS ) の 一環 で 、 日本 と 現地 の 研究者 約80 人 が 津波防災 の 共同研究 を し て いる 。
 68プロジェクト の 現地技術コーディネーター の ビクトル・オレジャーナ氏 に 、 チリ の 防災 ・ 減災 の 現状 と 課題 、 むすび塾 の 印象 を 聞い た 。
 69- チリ大地震津波 の 後 、 どのような 対策 が 取ら れ て いる の か 。
 70「 政府 は 大きく 浸水 し た エリア の 土地 を 買い上げ て 公園 など を 整備 し 、 無人地帯 に する 計画 を 進め て いる 。
 71工場 や 住宅 を 津波 の 危険性 の 高い 場所 から 遠ざける の が 狙い だ 。
 72ただ 漁師 について は 、 漁業 に 便利 な 海辺 に 復興住宅 を 建て たい という 希望 を 受け入れ 、 不徹底 な 面 も ある 」
 73「 チリ は 何 度 も 大地震 を 経験 し て いる ため 、 建物 の 耐震化 など ハード の 整備 は 進ん で いる 。
 74今後 は 、 避難訓練 や 防災教育 の よう な ソフト面 の 取り組み を 一般 の 市民 に 広める べき だろう 」
 75- なぜ 、 ソフト面 の 取り組み が 重要 な の か 。
 76「 まず 個人 が 備え 、 避難 し 、 自分 を 守る こと を 前提 に す べき だ 。
 77意識 が 家族 や 地域 に 広がれ ば 、 災害 が 起き て も 犠牲 の 軽減 に つながる 。
 78防潮堤整備 の よう な 高コスト の 対策 より 手早く 導入 でき 、 費用対効果 も 高い 」
 79- むすび塾 で は 、 政府 による 津波警報 の 充実 を 期待 する 声 も あっ た 。
 80「 高度 な 津波予測 の 技術開発 は 、 プロジェクト の テーマ の 一 つ だ 。
 81同時 に 、 警報 を 国 から 自治体 へ 、 その 先 の 市民 へ 、 地震 で 寸断 さ れる こと なく 伝達 する 通信システム の 開発 と 整備 も 進める 必要 が ある 」
 82- 日本 に比べて 、 チリ は 復興 の スピード が 速い と 感じる 。
 83「 チリ は 2 期 連続 の 再選 が 禁止 さ れ 、 4 年 ごと に 大統領 が 代わる 。
 84制度的 に 復興 や 防災 ・ 減災 の 長期的 な 計画 は 、 実現性 が 乏しい 。
 85いつ 起きる か 分から ない 、 将来 の 被災 の リスク を 減らす よりも 、 手っ取り早く 成果 を 残せる 住宅再建 が 最優先 さ れる 」
 86「 被災地 で は 住宅 が 元通り に なり 、 道路 も 橋 も 復旧 し た が 、 被災者 の つらい 気持ち を 支える 仕組み は まだ 不十分 だ 。
 87物質 だけ で は なく 、 心 の 復興 が 伴わ ない と 、 被災者 も 地域 も 災害 を 乗り越え た と は 言え ない 」
 88- 今回 、 両国 の 被災者 の 交流 が 実現 し た 。
 89「 東日本大震災 は 、 チリ大地震津波 の 何 倍 も 被害 が 大きかっ た 。
 90ワークショップ に 参加 し た チリ の 被災者 は 、 津波 に 襲わ れ て つらい 思い を し て いる の は 、 自分たち だけ で ない こと を 知っ た 。
 91日本 の 友人 とともに 、 苦難 を 乗り越え よう という 気持ち に なっ た はず だ 」
 92< 地球規模課題対応国際科学技術協力 ( SATREPS ) >
 93科学技術振興機構 と 国際協力機構 の 取り組み 。
 94環境 ・ エネルギー 、 防災 、 感染症 など 国際社会 の 協力 が 必要 な 地球規模 の 課題 解決 を 目指し 、 日本 と 開発途上国 の 研究者 が 共同 で 3~5 年間 、 研究 する 。
 95研究プロジェクト は これ まで 世界 39 カ国 で 計 78 件 が 採択 さ れ た 。
 96チリ で は 、 10 年 の チリ大地震津波 と 11 年 の 東日本大震災 の データ を 分析 し 、 高精度 の 津波警報手法 や 、 津波災害 に 強い 市民 ・ 地域 づくり プログラム の 開発 が 進め られ て いる 。
 97< ビクトル・オレジャーナ氏 > サンティアゴ市出身 。
 9899 年 、 同市 の チリ・カトリカ大 卒 。
 99公共事業省勤務 を 経 て 11 年 8 月 から SATREPSプロジェクト現地技術コーディネーター 。
 100チリ大地震津波 の 伝承 など に 取り組む アルト・リオ財団副理事長 も 務める 。
 10140 歳 。
 102< チリ大地震津波 >
 1032010 年 2 月 27 日 午前 3 時 34 分 ごろ 、 南米 チリ中部沿岸 で マグニチュード(M) 8.8 の 巨大地震 が 発生 、 高さ 最大 30 メートル 以上 の 津波 を 引き起こし た 。
 104チリ内務省 によると 、 国内 で 548 人 が 犠牲 に なっ た 。
 105住宅 の 全半壊 は 約37万 戸 に 上り 、 国 は 低中所得者世帯 を 対象 に 約22万 戸 の 復興住宅 の 整備 を 計画 。
 106建物 の ほか 、 土地 や 建築資金 も 提供 し 、 13 年 11 月 時点 で 約19万 戸 を 完成 さ せ た 。
 107津波 は 日本 の 太平洋沿岸 も 襲い 、 養殖施設 の 損壊 など 漁業関連 の 被害 は 60億 円 を 超え た 。
 108訪問団 は 前日 に オレゴ島 に 渡り 、 慰霊碑 の 前 で 現地 の 被災者 と 現在 の 心境 など を 語り合っ た